前立腺肥大症の治療法

 

前立腺が肥大することそのものはすぐに悪さをするものではないので、
軽症で排尿トラブルなども無いようであれば経過観察が行われることもあります。

 

ある程度肥大が進み、今後も続くことが予見される場合や、
発見時にすでに肥大が進んでいた場合は積極的な治療が取られることになります。

 

前立腺肥大症の治療は大きく分けて薬物療法と手術療法に分けられます。
基本的には薬物療法が第一選択肢となりますが、発見時にかなり肥大が進んでいる場合や
治療薬の効果が見られない場合、あるいはガン化が疑われる場合は最初から手術療法が取られることもあります。

 

それではそれぞれの治療法について見ていきます。

 

 

前立腺肥大症の薬物療法

 

前立腺が肥大して排尿トラブルなどを起こす作用は2種類あり、
一つは前立腺が肥大して直接尿道を圧迫する作用、
もう一つは交感神経の作用で前立腺の平滑筋が収縮し尿道を圧迫するものです。

 

前立腺の平滑筋が収縮している場合

後者の場合は前立腺の平滑筋を弛緩させて過度の緊張を緩め、
尿道を圧迫から解放してやる薬剤が使用されます。

 

代表的なものにα1受容体遮断薬があります。
この薬剤は過活動膀胱にも適用があり、夜間頻尿など他の排尿トラブルにも一緒に使えるために好んで使用されます。

 

肥大した前立腺が尿道を圧迫している場合

前者の場合は前立腺そのものを小さくする薬剤が使用されます。
よく用いられるものに5α還元酵素阻害薬と、抗アンドロゲン薬があります。

 

両者は作用機序が異なり、前者は男性ホルモンのテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのを防ぎ、DHTが前立腺の細胞を増殖することを抑制します。

 

後者は精巣からテストステロンが生成されることを抑制するものです。

 

前立腺肥大症は男性ホルモンが強く関与していることからその抑制のための薬剤が使用されます。

前立腺肥大症の手術療法

手術療法はその術式によっていくつかの種類に分けられます。

 

患部を電流で切除

経尿道的前立腺切除術は尿道から内視鏡を挿入して
これに備わっている切除用のループに電流を流して患部を切除する方式で、もっともよく利用されるものです。

 

患部をレーザーでくり抜く

ホルミウムレーザー前立腺核出術は内視鏡を尿道から挿入し、レーザーを用いて目標をくり抜く方法です。
比較的大きい患部に対しても適用があり、出血も少なく済みます。

 

ステントを挿入

尿道ステント術はステントと呼ばれる特殊な器具を尿道に挿入します。
前立腺の圧迫に負けないように尿道を確保するために筒状のステントを尿道内にセットします。
心臓の手術などでも用いられるステント術の泌尿器科版です。

前立腺肥大症の治療薬と副作用

 

前立腺肥大の治療は、内服薬が主

前立腺は、多くの人が加齢に伴って肥大します。
前立腺は尿道を挟むようにして存在しているため、肥大が顕著になると、尿路閉塞を起こしてしまいます。

 

尿路閉塞の程度により、頻尿・尿意切迫感・残尿感・夜間頻尿・尿の勢いが低下といった症状が現れ、
最もひどい場合には尿が出なくなる尿閉を起こします。

 

完全尿閉を起こすと、尿が膀胱に溜まり切らず尿管を上行し、腎臓に尿がうっ滞して水腎症を起こします。
水腎症が悪化すると、急性腎不全や敗血症性ショックを起こし、命に関わります。

 

ここまでいかないにしても、上に挙げた前立腺肥大の症状は日常生活に支障が出てしまいます。
頻回なトイレや夜間の覚醒は、日中の生活の満足度を下げることになります。

 

大半は命に支障がないので放置されることが多いのですが、
統計によると、55歳以上の男性の5人に1人、推定患者数は400万人に達するといわれています。

しかし、厚生労働省の調査では、前立腺肥大症の患者数は44万人と報告されており、
実は治療を受けていないけれども前立腺肥大で困っている患者さんは、非常に多いのです。

 

では、前立腺肥大症の治療には何があるのでしょうか?
内服と手術があり、手術は尿道から管を入れて前立腺を切除する「経尿道的前立腺切除術:TURP」と、
お腹を切る開腹手術(被膜下前立腺線種核出術)があります。
TURPの方が開腹手術より身体への負担やリスクは少ないのですが、まずは薬物療法を優先します。

 

前立腺肥大の内服薬にはα1受容体拮抗薬、5α還元酵素阻害薬、抗アンドロゲン薬、
PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬、生薬・漢方薬などがあります。
この中でも、α1受容体拮抗薬(α1ブロッカー)が第一選択となります。

 

α1受容体拮抗薬は、前立腺平滑筋に対する緊張を下げることで前立腺を弛緩させ、
その結果として、前立腺が尿道を圧迫するのを軽減します。
内服後は、早ければ1週間で症状改善効果と満足度が得られます。

 

α1受容体拮抗薬には、前立腺を小さくする効果はありませんが、
継続的に飲み続けることで長期的な改善効果が期待されます。

 

α1受容体拮抗薬は、万能薬ではない!? 副作用に注意

 

前立腺肥大治療薬の主となるα1受容体拮抗薬(α1ブロッカー)ですが、実は万能薬ではありません。
それは、完全に前立腺肥大症の症状を解消することができないというだけではありません。
副作用が出やすいのです。

 

α1受容体拮抗薬は、前立腺の平滑筋だけでなく、血管を拡張させる作用があります。
血管に対する内側からの圧のことを血圧と言いますが、
血管が拡張してしまうと、急な血圧低下を起こすことがあります。

 

そのためα1受容体拮抗薬は、どうしても作用機序から起立性低血圧によるたちくらみなどの副作用を起こす可能性があります。

 

主な患者層である高齢男性に起こると、転倒やそれに伴う骨折などを起こす危険性があります。
また、血圧低下以外の副作用として、めまい、下痢、射精障害などがみられることがあります。

 

日常生活に大きく影響する前立腺肥大症。加齢に伴う変化ですから、どうしても治療薬で「完全治癒」とは行きません。薬の副作用もよく把握した上で、上手に付き合っていきたいものですね。

 

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